又吉の『火花』を読んでみた、確かに面白いですわ。

   

吉本の芸人 ピース又吉直樹の文芸誌デビュー作「火花」を読んでみました。

非常に面白かったです。

純文学の定義って色々あると思うけど、私自身は

・自分の知らない世界の情報がたくさんつめ込まれている

・人間の情念というかあらぬ妄想が滔々と語られている

という点に注目して読んでます。その意味で、

芸人という職業の特異性が当事者としての説得力をもって丹念に描かれております。

そして、オチの箇所も含めて”先輩”の屈折性が全開で読み応えがありました。

僕と先輩の漫才のような掛け合いにより

ひとつの物事が多層的にみえてくるのも良いです。

冒頭の場面で漫才にもっとも適さない花火の会場をもってくる

技巧的なアプローチなど上手いなぁと思わされるシーンも多かった。

 

又吉さんって芸人のキャリアを始める頃から

小説書くつもりだったんだろうなぁと思ったりしました。

もしかしたら小説家になりたくて芸人始めたのかもとすら感じた。

有名性を手に入れた上で自己実現を図るというのは非常にクレバーなやり方だ。

おおよそ芸人らしからぬボソボソした喋り方だし、相方の綾部さんとも

全く対照的なキャラクターだから、かなり確信的な考えがあって

独自のポジション築いていったように見受けられますね。

 

今の時代で文学の置かれてる状況って非常に厳しい。

賞でも取らない限り小説がデビュー作で

いきなりたくさんの方に読んでもらうような状況って考え難い。

とはいえ、ネット文化の隆盛のお陰で

昔には考えられなかったムーブメントがあるのはまた確かであり、

現役グラビアアイドルが書き下ろしたロマンス小説100万円超え作家に

今野杏南さんって知らなかったけど、例え個人作家でも、

内容が面白ければネットで口コミが広がり、作品が支持されて

収益にも結びつく動きが起こっているのである。

 

そして、うちの会社も様々なプロモーションの手法を使って

本を売ってみたいと思った次第なのである。

詳しくは明日の記事にて!

T.HASE拝。

 

 

 

 - コラム_T.HASE