ムーントーク 絵本について語る と 「かないくん」について。
2016/10/12
この度、黒澤優子作『トウモコロシ』を
書籍にて刊行するにあたり
名刺代わりになる作品を、と思い
電子絵本『ミカ』を先行リリースしておりました。
ムーントークでは割愛しましたが、
私はほぼ日がプロデュースした
『かないくん』(谷川俊太郎 作 松本大洋 絵)に
大きな刺激を受けました。
絵本で題材として死を扱うのは
軽くても勿論駄目ですが、重すぎてもシリアスすぎるので
バランスが非常に難しいと思うのです。
谷川さんの言葉は絶妙のさじ加減で
テーマが丁寧に表現されていると感じました。
職業柄、松本さんのイラストに目がいってしまうのですが
谷川さんが対談で仰っていたように
リアルなんですよ、絵が。そこに現前するようにモノが描かれてる。
イラストってある部分にのみ焦点を当てて描くことで
リアリティを獲得していくものなんですけど(例えば顔であれば”目”だったりする)
松本さんの絵は志向性の働かせ方が非常に卓越してます。
フニャフニャって描いた鉛筆の線でも妙に説得力があるんですよね。
あと、テーマが死ということで
白の色が物語のテーマカラーになってるんですけど(うさぎや雪など絡んでくる)、
印刷に白インキが使われており、世界観の形成に一役買っています。
そして、糸井さんのプロデューサーとしての着想が流石というか
死というテーマ=谷川さんの言葉=松本さんの絵=祖父江さんの装丁
というのは良い作品ができるという確信に満ちた方程式として
最初に浮かんだイメージ通りなんだろうなと感じました。
普通は2年もかかるとせっつきたくなるものだけど、
じっくりと作品が醸成するまで待った姿勢というか心構えなど
只々すごいなと感心するばかりでございます。
さて、次はどんな作品をつくろうか…。
『ミカ』描いている時に
課題として全身を描くのが下手だと気づいたので
修練を積む日々であります、はい。
T.HASE拝。