『言の葉の庭(新海誠監督作)』を『君の名は。』大ヒットの最中にオススメしたい。

      2016/10/12

新海誠監督の『君の名は。』興収120億円を突破ということで

社会現象化しております。私はまだ観ておりません。

新海監督の作品は

第1作の『ほしのこえ(当時DVDで購入)』から

いくつか観ております。

 

ひっそりと聴いていたインディーズのバンドが、

メジャーデビューで爆発的にヒットして

なんだか戸惑いがあるような感じです。

王道を歩んで売れ線を狙うというのはまったくもってOKです。

売れないと新作が準備できませんから。

ちょっと自分が天邪鬼なので、

ポップ路線に舵をきった新譜を

まだ耳にしたくない、そんな気分なのです。

 

新海監督の作品では

『言の葉の庭』が好みです。

余白を愉しむ文学的な表現を目指したつくりという意味で

野心作と位置付けて良いかと思います。

新海監督・日本ならではの繊細なアニメーション表現。

45分程と短く観やすいので、大人の年代の方が楽しめる作品ではないでしょうか。

 

【緑】の表現がすごく豊かです。

アニメはRGBでカラー表現されるので

緑色が鮮やかに発色されます。

背景の描き込みが緻密で、まるで絵画のように堪能できますし

光が描くコントラストが脳裏へ鮮明に焼き付きます。

日常的な風景を描いた内容ですが(対して台詞は浮世離れしたポエム)、

こだわりぬいた画づくりによりリアリティを醸成しています。

新宿御苑にまだ行けてないですが、聖地巡礼しないと。

 

後半途中まで静かに淡々と進むことで、動的なラストがより印象的で

カット割り・音楽の入れ方(少しずつ楽器が足されていく)など含めて

新海監督の総合的な演出力が光ります。

脚本・編集などあらゆるパートを監督が担われている訳で、

ほぼパーフェクトにご自身の頭の中にある映像が

忠実に具現化されているのではないでしょうか。

完全に計算され尽くした、隙の無いつくりです。

 

あと、主題歌の『Rain』がめちゃ名曲です。

千ちゃん(大江千里)、いい曲書くなぁ。

秦基博がカバーしてるのですが、

ザラついた声質が楽曲の雰囲気にマッチしております。

 

小説も出ているようですが、実写化は断ってるのではないでしょうか。

ドラマにするにはうってつけでしょうが、

ファンの為に世界観を守りたい、邪推ですがそのように思います。

 

この夏は東宝が配給の邦画『君の名は。』『シン・ゴジラ』が光りましたが

監督の作家性が色濃い作品が支持されているのは

非常に良い流れなのではないでしょうか。

巨額の予算で分業化により量産されるハリウッド作品に対峙するには

ある一人の熱狂から生み出される

変態的(※いい意味で)な創造物しかありません。

新海監督庵野監督など、力量のあるクリエーターが

存分に力を発揮できる環境が整うことが、

世界市場へのチャレンジにも繋がっていくのではないでしょうか。

 

T.HASE拝。

 - 映画, コラム_T.HASE