ドラマ『カルテット』遂にフィナーレ。ドラマの最終回について考える。
2017/03/23
毎週のようにレビューしておりました
TBSドラマ『カルテット』、ついに幕を閉じました。
以後、ネタバレを含みます。
すずめちゃん(満島ひかり)の
”マキさん(松たか子)連れて帰る”で
ついもらい泣きしてしまいました。
個人的にはこのシーンがクライマックスで
演奏会(まさかの軽井沢大賀ホール!)からラストにかけては
音楽でいうところのコーダみたいなものでしょうか。
一度でいいから『人生チョロい♪』と大声で言い放ってみたい。
「死と乙女」を選曲したマキさんの意図とは。溢れた気持の正体は一体…!?
グレーな部分を残したまま、4人の生活にダルセーニョして
元のカルテット状態に戻りました。
これまでは大小様々な伏線を漏れなく回収し続けることで
見事な構成力をみせてくれた坂元裕二さんの脚本ですが、
最終回に関してのみ謎掛けを残したままとなりました。
ドラマの意義を
”また同じスタッフの作品を観てもらうこと”と捉えると、
このみぞみぞした気分はリピート精神を助長しますね。
旦那さん殺しを疑われていたマキさんが
実は義父を殺していた…なんていうどんでん返しだと
意外性はあるものの、ずっとマキさんを追いかけていた
視聴者としては辛いところだった。
最終回を超えても、思い入れの深まったキャラクター達が
ドーナツホールの演奏生活を続けてくれていることに
嬉しさを覚える訳です。
続編はまず無さそうですが、
心地よい残響感はいつまでも続いていきます。
ダブルミーニングになっている
仕掛けが多くて本当に感心しますね。
イラスト描いてて思いましたけど、
メインテーマである”黒と白(およびグレー)”は
ピアノの”黒鍵と白鍵”、
更に”ストライプ”にも繋げている可能性があります。
煙の例えはつまり、ドーナツホールということでしょう。
ノクターン ≒ 割烹和食 のくた庵 は後から思いついたのかな!?
登場人物の中では、業態を変えながらも動じることのない
サンドウィッチマン富澤さん八木さんご夫婦が
ある意味一番最強かもしれない。
自分も若い頃は最終回の盛り上がりへ過度に期待をかけすぎて
勝手に肩透かしをくらうことがままありました。
このみぞみぞした気分も含めて、
味わい深く堪能できる年代にもなったということでしょう。
劇的な展開や、意外性にとんだ終幕でなくても
じんわりと心象に残るドラマを在り方を
『カルテット』は提示してくれました。
T.HASE拝。