アイドルくくりで売ることによる機会損失と嫌悪感

      2016/08/07

アイドルのライブへ足を運ぶようになってから二年ほど経った。

そのきっかけだったBiSは先日横浜アリーナで解散してしまったが、

まだベルハーがいる。水と油、死と生のように全く違うタイプながらも、

この二組の曲とパフォーマンス(と観客の創造性)は群を抜いていた。

そのほかにもいろいろな演者がいて百花繚乱ではあるのだが、

二、三の例外を除いてあまり心に刺さらない。

シーン全体として、ちまたで言われているほど盛り上がっているのかどうか、

正直よくわからない。

 

批評のないところに文化はない。アイドル現場は基本みんな知り合いだから

”辛い”批評がやりにくいという事情もあり、毀誉褒貶がバランスよく含まれた

健全な言論の場のたちあがる望みは薄い。

一定数の人間が集まっている以上、そこに負の感情が全く発生しない

ということはありえないのに。

 

そんな中、ライターの津田真氏が

アイドルに特化したブログを始められたことを知った。

 

津田さんは、ベルハー現場で、よくお見かけする。

一般的に言って、感情の垂れ流しは見苦しい。

好きなものを語る際、どうやって客観性を保とうかと誰もが苦労する。

しかし「良くないものは語らない」と宣言し、

主観的で私小説的なあり方を肯定することで

アイドル批評のハードルを軽々と飛び越えてしまった。

素直に「やられた」と言おう。

 

とはいえこの行き方は一面にしか過ぎないし、それが最大の不満でもあった。

 

どちらかといえば違和感をこそ語りたい。

素晴らしいステージパフォーマンスに喝采を送りたくて

ライブハウスへ通っているのに、終演後あんなにニコニコされると

いたたまれなくなる。お願いだからそんなに営業的に

かわいく振る舞わないでふつうにしててくれと思う。

 

当事者にとってはともかく、見ているほうにとっては

容姿のかわいさは人生においてそんなに重要なことじゃない。

でも、それを最大に重要視する価値観の所有者が世の中には一定数いて、

そういう人たちが集まってアイドル現場を形作っているので、

十代のうちからそんな人たちに囲まれてチヤホヤされてたら

碌な大人にならんぞ! と例えばゆぅゆに説教したい。説教してウザがられたい。

 

つくづくアイドル好きの人たちの熱量にはかなわないと思う。

大森靖子さんとか、元BiSのみっちぇることミチバヤシさんなんかが

典型的だと思うが、あのひとたちは本当に心から、

かわいい子たちが好きで好きでたまらないらしい。

nestのフロア最前からステージ上のみずほに熱い視線を注いでいる

みっちぇるはライブ中ずっと譫言のように

「やばい…かわいい…」とつぶやいていた。

隣でそれを聞きながら「俺は一生かかってもこうはなれないなぁ」と

絶望したものだ。

kanagawa拝

 - 音楽, コラム_kanagawa