俺の作詞道 ~其の十一『EASY COME EASY GO!』稲葉浩志~ 熱すぎず、冷たすぎないB’zの絶妙な温度感
2016/10/12
B’z稲葉さん寄稿「静かにしんちゃい!」と叱られた日々 市勢要覧が大ヒット、重版出来…岡山県津山市
流石は岡山の産んだロックスター。
今回の「俺の作詞道」は、私が中学校の頃から親しんだナンバー
『EASY COME EASY GO!』を取り上げたいと思います。
(以下、歌詞はJ-Lyric.netより抜粋)
この曲、カメラの動かし方が巧みなんですよ。
映画や小説もそうなんですけど、
ひとつのストーリーを[様々なカメラ=視点]から捉えることで
世界観が立体的に構築されて、物語に奥行きが出てきます。
Aメロ=さよならを言われた主人公(女性)
Bメロ=”また独りきりな君”をみつめる他者(多分、友達の男性かな!?)
Cメロ=寄りから全体を俯瞰した引きのカメラへ
曲自体はシンプルな構成ですが(リリース当時は地味な印象だったとのこと)、
徐々に広がりをみせるカメラワークのおかげで、
歌詞の中でのドラマはむしろ躍動感があります。
昔卒業の寄せ書きに書いたことのあるクサイ言葉
「逆境にくじけるな」と今自分に言い聞かせて
ど真ん中のストレートなメッセージを
2番のBメロという一番目立たない箇所に配置するというテクニック。
ヘタするとむさ苦しくなりそうな直球の言葉も
ひっそりとした場所に置くと趣が出てきます。
しかも、若かった頃の自分に言わせるという妙技。
誰しもが直面する、昔に抱いてたイメージと
現状の自分のギャップに苛まれる気持ちを巧みに突いてきます。
スラムダンクの三井な気分です。
稲葉さんの歌詞全般に言えることなのですが、
メッセージを伝える温度感が個人的には好みなのです。
アツ過ぎず、かといってクール過ぎでもない絶妙なお湯加減。
ずっと浸かっていたい温泉のような存在であります。
これは憶測ですが、これは松本さん、稲葉さん B’zお二人の
つかず離れずといったプロフェッショナルな距離感にも通じるような気がします。
T.HASE拝。