俺の作詞道 ~其の十三『おとなの掟(歌:Doughnuts Hole)』作詞:椎名林檎〜

      2017/03/10

『おとなの掟(歌:Doughnuts Hole)』作詞:椎名林檎

ドラマ『カルテット』への傾倒もあり多少バイアスがかかってますが、

椎名林檎氏のここ近年の楽曲の中では抜きん出て好きなナンバーです。

サビで男性陣が入ってくる部分のハモリをカラオケで歌いたいですよ。

 

シンガーソングライターの方が

他のアーティストに提供する歌は良曲が多いです。

『おとなの掟』はドラマに即した内容と受け取れます。

タイアップ曲であり制約が多いはず。

が、決まりごとの中で少しずつ逸脱していく

アーティストの個性が、いい塩梅のノイズとなって

唄に思わぬ化学変化をもたらします。

 

シンガーソングライターも

自身の中で常に自己探求をおこないながら

楽曲を制作し続けるのは難産であると想像されます。

 

他者のフィルターを通すという外部要因により

インスピレーションを受けて

自分の新たな一面を発見できるキッカケになるのではないでしょうか。

制約の中で手に入る自由がある。

 

『おとなの掟』の歌詞ですが、

ポップスの文法に則りながら

椎名林檎テイストも存分に発揮されている、

分かりやすさ奥深さが同居した絶妙な楽曲となっています。

真っ黒 × 真っ白

子ども × おとな

嘘 × 本当

好き × 嫌い

ト書き通り × アドリブ

幸福 × 不幸

様々な対義語をちりばめながら

ラスト付近に提示される

”僕らはグレー”というワードにより

曖昧模糊とした人間の不条理を浮き彫りにしております。

 

すべての事象が白か黒か、で割り切れる訳ではない

いつも聴きながら

”みぞみぞした気持ち”になってしまいます。

 

T.HASE拝。

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