土偶レプリカを2体購入しメディアと情報伝達の根源に思いをはせる。
2016/08/07
書泉グランデへ行ってきた。世界有数の本の街・神保町の中でも
とりわけアクの強い書店だ。
軍事や鉄道、格闘技やアイドルからスピリチュアル関連まで、
専門性の高い書籍が充実している。趣味人の巣窟だ。
古本屋ならもっとクセの強い店がいくらでもあるが、
新刊書専門店でこれは珍しい。
(7FのSHOSEN+というイベントスペースを無料で貸してくれるのも凄い。ただし平日限定。受付は地下1F、詳細は店舗まで。)
思想・精神世界関連のフロアである4Fなどは、
ガラスケースの中に仏像やパワーストーン、
密教法具がところ狭しと並べられ、とても書店とは思えなかった。
そんな中にひっそりと置かれていたのがコレ。
縄文時代の遺跡から出土し、国宝や重要文化財に指定された
土偶のレプリカ10体。
これらの図像は手塚治虫の『三つ目がとおる』あたりで
全国的に有名になったような気がする。
【チラシはハート出版社長のブログ http://heartshuppan.sblo.jp/article/62797932.html より引用】
さあ困った、全部欲しい。しかしそうもいかぬので、
群馬・吾妻町郷原遺跡出土の「ハート型土偶」と
福島・上岡遺跡出土の「うずくまる土偶」を買ってみた。
非洗練のバイオモーフィックなフォームが
曰く言いがたい生命の充実感を伴って胸に迫ってくる。
箱を開けると新聞紙にくるまった重要文化財が横たわっていた。
この質感。すべて信楽土・益子土等を使用した素焼きだという。
値段も大きさもインテリアにちょうどいい。
書泉グランデ4Fは現在(5/28)改装中なので
レジの下の目立たないところにひっそりと置かれている。
箱をひっくり返すと、あれ?
書籍の裏などで見慣れたバーコードとISBNが。
SBNの付与対象となる出版物の形態は
厳密に規定されているはずなので、
これはいったいどういう扱いなんだろうと思った。
ただの人形では趣旨に合わない。
おそらく土偶を文字と言語表現の未発達な時代の
精神世界を後世に伝えるものとして、
素焼きの土を書き換え不可のメディアとして、
現代における本と同等にとらえたのだろう。粋なことをするもんだ。
kanagawa 拝