キャラクターは”共通項”と”対立軸”で作られている 〜『小さな巨人』『スラムダンク』の場合〜
2017/06/11
脚本・ストーリーの作り方を独自に研究しているのだが、
ドラマ『小さな巨人』と『スラムダンク』をケーススタディとしてみたい。
連載の漫画はストーリーよりも、
キャラクターが肝なのはよく言われるところ。
これは連続ドラマも同様に当てはまる。
キャラクター設定だが、主人公に対して
それを取り巻く登場人物に
・共通項 ・対立軸 を与えることで形成されている。
『小さな巨人』
※[ ]は主人公・香坂との共通項または対立軸 (⇔ )内は香坂の資質
小野田一課長(敵)
[共通項]組織でのトップを目指している
[対立軸]悪(⇔正義)
山田(部下)
[共通項]キャリアップの途上である・父親との関係性
[対立軸]若さ(⇔経験)
渡部(元部下)
[共通項]正義感
[対立軸]小汚い格好(⇔清潔感)
※渡部が香坂に感化されて小奇麗な格好に変容することで
作品自体の時間の経過・キャラクターの成長過程を描写している
須藤刑事課長(上司)
[共通項]チームリーダ
[対立軸]捜査に私情を挟まない(⇔刑事だって人間である)
藤倉(同期)
[共通項]若い頃に同じ釜の飯を食っている
[対立軸]ナンバー2を標榜(⇔トップを目指している)
三島(部下)
[共通項]情に厚い刑事像
[対立軸]純粋無垢(⇔酸いも甘いも噛み分ける)
美沙(奥様)
[共通項]母親思い
[対立軸]マイペース(⇔周囲との協調性)
因みに、刑事ドラマということもあり
すべての登場人物が苗字で呼ばれる中で
美沙の香坂に対する呼び方 ”真一郎君”は異彩を放っている。
『スラムダンク』
※[ ]は主人公・桜木花道との共通項または対立軸 (⇔ )内は花道の資質
流川楓
[共通項]めぐまれたバスケの才能と資質
[対立軸]クール・淡々(⇔悪ガキ・コテコテ)
赤木剛憲
[共通項]暑苦しい
[対立軸]リーダー・真面目(⇔はぐれもの・不良)
三井寿
[共通項]元ヤンキー
[対立軸]天才シューター(⇔左手は添えるだけのレイアップ)
宮城リョータ
[共通項]ムードメーカー
[対立軸]小さい・職人肌(⇔デカイ・身体能力が武器)
そして木暮公延について、
桜木花道と一番真逆のキャラクター設定
(不遇時代からチーム支える/真面目・メガネ君/レギュラーを才能あるものに譲る)
であることから、陵南戦での3ポイントが際立ったのです。
出番は少なめでも
お互いの距離感が遠ければ遠いほど、
見せ場が印象に残るのである。
こうみると、
『小さな巨人』は
小野田一課長が動、香坂が静。
『スラムダンク』は
桜木花道が動、流川が静。
メインキャラクターが動的な存在か否かは
作品によっても異なるというところですね。
T.HASE拝。