脚本術をドラマ『小さな巨人』から盗む。
前回の記事、キャラクターは”共通項”と”対立軸”で作られているに引き続き
ドラマ『小さな巨人』を題材とした
ストーリーテーリングに関する考察です。
ライムがリズムを出す
”韻を踏む”ことにより
歌にリズム感を醸成することができます
(ラップにおけるライム)。
芝居の台詞も同様で、
核心となる言葉を重複して使用することで
物語に一貫した流れが生み出される。
ドラマ『小さな巨人』の第8話ですと
絆がキーワードとなり、頻出しておりました。
◼小野田一課長と富永専務の先輩・後輩の”絆”
◼香坂と藤倉の同期の”絆”
◼江口と横澤の裏帳簿の”絆”
”絆”という言葉が
違ったシチュエーション・人物の構成で
意味合いを変化させながら発せられているのです。
決め台詞が武器
決め台詞があるとキャラクターを印象づけやすい。
・〜%の覚悟(自信と共にパーセンテージが徐々に上昇)
・勘です(念押しされた際に臆面もなく堂々と言い放つ)
・分かるな◯◯◯(上司が部下を静かに詰めていく際に使用)
日常生活でそのまま引用できるような台詞だと
真似する人が出てくるので流行に乗りやすい。
それとなく伏線を張る
芳根京子演じる三島刑事と横沢の妻・亜美との自然な会話の流れで
彼氏の有無の質問からペット(ジョン)の話が出てきてスマホを取り出す。
その際に、亜美が携帯電話の暗証番号を
盗み見している様子が挿入されている
(のちほど、携帯電話をロック解除して使用されていたことが発覚)。
続けざまに、遠巻から見張りをしている
渡部と関口のデジャブ感のあるやり取りのシーン
(尾行の際に服装を気をつけろと注意を促す)。
会話の末尾に”ジョン”が復唱され、冗談めかされることで
伏線となる前のシーンをうまくカモフラージュしているのである。
同工異曲
香坂と山田が2人で話している最中に電話がかかってくる。
シリアスな表情で席を外し電話に出る山田。
(最後に横沢からの電話と判明)
続けざまに着信音が鳴る。
香坂にはお母さんからの電話というオチ。
電話というソースを同じくして落差をつけ
ギャップにより生じる面白さを醸し出している。
しかも、ほっこりした会話で終わるシーンかと思いきや
意外な形で重要な事実が判明するのであった…。
『小さな巨人』はご都合主義的な流れや、設定のケレン味はあるものの
キャラクターや脚本の作り方はセオリーに忠実に則っており
視聴しながら勉強させて頂いている次第でございます。
T.HASE拝。