メディアリテラシーあれこれ

      2016/08/07

何年か前のワールドカップで、オウンゴールによって
自国を敗退させたコロンビアのある選手が、殺害されたことがあったそうだ。
これだけでは状況の詳細がわからないが、
はたして激怒した民衆の満場一致の犯行だったのだろうか。
それともひとりの狂信者の仕業か。
前者であれば、コロンビアという国の印象も、
サッカーファンという人種のそれも、
野蛮なものになるし、あきれて物が言えない。
しかし後者であれば、まだ救いがある。
この事件のことはテレビのワイドショーで
ちょっと見ただけなので、よくわからない。
マスメディアの一方的でセンセーショナルな
報道を鵜呑みにすることは、警戒すべきだ。
ましてやコロンビアでは五〇年以上、
凄惨な内戦が繰り広げられていると聞く。
そういうところでは利害関係は錯綜し、
状況は複雑を極めている。センセーショナルであることが、
なんらかの意図があってなされたものだろうという判断材料になる。
一日待てば、全く違う情報が出てくるかもしれない。

去る6月18日、東京都議会において、
子育て支援政策について質問に立った
女性議員に対してなされたセクハラ野次は、
「自分が早く結婚したほうがいいんじゃないか」ではなく、
「みんなが結婚すればいいじゃないか」と
言っているのではないか、という異議が出された。
https://twitter.com/JPNG5/status/480715829428760577

もしもそうだとすれば、とくにセクハラだとは言えないかもしれないが、あの文脈だと必然性が薄いし、
みんなの党を揶揄したものだという解釈も無理がある。
「産めないのか」という野次は、たしかに録音されたものからは聞き取れないが、
セクハラを受けた当人が聞いたと言っているのだから、
勘違いでなければ聞いたのだろう。テーマを際立たせるための補足、
または悪く言って捏造だったかもしれない。
しかしそれが悪いというわけでは必ずしもない。
事実重視の帰納的な態度と、理想重視の演繹的な態度の、
どちらが人類に益するか、これは永遠の問題である。
(この件について発言するなら最低でも一般質問11分間の動画ぐらいは見て、自分なりに検証するべきだ。)

個人のブログなどでも、本当に素晴らしい商品だと思って紹介しているのに、
アフィリエイトへのリンクを張っているせいか、
「ステマですか」の一言で切り捨てられることがある。
とっておきのネタのつもりで紹介したほうはガッカリするかもしれない。
しかしマスメディアにしろ個人発信の情報にしろ、
それほど警戒すべき魔力を持っているということだ。
わかっているつもりでも乗せられることがある。

警戒しすぎるということはないのだ。

kanagawa拝

 - コラム_kanagawa