サンドウィッチマンのコント〈学習塾〉を分析することでストーリーテリング術を学ぶ。

      2018/03/17

サンドウィッチマン(以下、敬称略)は

行列のできる塩ラーメン屋です。

激辛のようなインパクトは無いが、癖になる味

最後までスープを飲み干して

また足を運びたくなる中毒性があります。

 

私は兵庫県民なのですが、

関西人他の地域の笑いを評価したくないたくないという

妙なプライドがあります。

サッカーにおけるブラジル人の如く。

唯一の例外としてサンドウィッチマンは認めます

(あ、ナイツもオモロイかな。)

 

 

コント【学習塾】ですが

伊達みきおが講師を務める小学生の学習塾に

富澤たけし演じるダンディなキャラが

入塾してくる違和感(※体型は決してダンディでない)からして面白いです。

富澤がゴルゴ13風な立ち振舞で、なんとなく独白する台詞が予想できます

キャラクター像が分かりやすい為、事前の説明無く早い段階で世界観に没入できます

 

笑いが起こっているシチュエーションを3つピックアップしてみました。

 

①伏線の回収(1:07〜)

伊達みきお
お年召されてから勉強されて大学行く人が増えてるみたいですけど…。
富澤たけし
大学に入って4年間遊びたいんだ
伊達みきお
遊びたいんだ(汗)お仕事とか何されてるんですか!?
富澤たけし
朝飯を食って公園に行き、ベンチに座って噴水を眺めている
もしそれを仮に仕事というのなら…
伊達みきお
(間髪入れず)それ無職ですよね 噴水見て誰からもお金貰えないですからね
富澤たけし
(食い気味に)早く授業を始めてくれないかな 俺に遊んでいる時間はない 
伊達みきお
 大学に行って遊びたい人が何言ってんだよ…

 

”大学で遊びたい”と言い放ちながら、”遊んでいる暇はない”とのたまう富澤。

直近の前フリから伏線を回収していく見事な一連の流れです。

 

 

②モヤモヤ感、からの解放(2:17〜)

富澤たけし
人に名前を尋ねる時はまず自分から名乗れ。違うか!?
伊達みきお
講師伊達です。
富澤たけし
人間富澤です。
伊達みきお
…いや、そういうことじゃないです(注1:苦笑)。
伊達みきお
僕、仔牛の牛じゃないんで。私も人間です。仔牛じゃないです、塾の講師です。 (注2:大笑い)。
伊達みきお
え、これ説明しなきゃ駄目かな!?
富澤たけし
いいだろう

 

注1での苦笑い(人間!?)では伝わりきらなかった意味を

注2でイントネーションをつけた”仔牛”の言い方により

明確にさせて(こうし=小さな牛)大笑いを生む。

緊張と弛緩によるテクニックです。

 

このあとにも頻出する富澤の「いいだろう」は他のコントでも出てくる決まり文句です。

水戸黄門の印籠のような安心感が担保されます。

 

 

③配置の妙(6:02〜)

富澤たけし
義務教育だの、面積を求めよだの随分と上から来るようだが
そもそもこの問題を出しているのは誰だ?神か!?
伊達みきお
いや神ではないですね 国の偉い人じゃないですか
富澤たけし
国はこんな問題を出すよりもっと解決しなきゃいけない問題が他にあるんじゃないのか(凄む)!? 
伊達みきお
・・・(無言)
伊達みきお
(何事もなかったかのように)えーこの問題はですね…(爆笑)

 

これまで丹念にボケを拾っていた伊達が

ここにきてツッコミを放棄することで

一瞬の静寂からの爆笑が炸裂しました。

後半の一番盛り上がってくるところで配置したからこそ機能した

ツッコまないことによるツッコミ

構成が実に上手く練られております。

 

(この後に続くやり取り↓)

伊達みきお
えー公式を覚えていますか?
富澤たけし
何もたさない 何も引かない
伊達みきお
それウイスキーですね(ボソッ)。

無言に続いて次は背中越しによるツッコミ

匙投げ感が更なる伊達のトホホな心情を巧みに表現しております。

 


 

テキストでは伝わりづらいニュアンスもあるので

是非、映像で観てもらいたいですね。

しっかりとした骨子のあるネタを、

お二人の高い演技力によって笑いを更に増幅させています。

演技は(ま)が肝心とはよく言われますが

上述の伊達による無言ツッコミなんて絶妙であります。

 

サンドウィッチマンのコントは

誰もが一度は耳にしたことのある文言や

目にしたことのあるシチュエーションで

組み立てられております。よって非常に理解しやすい。

一見、誰でも似たようなコントが作れそうに錯覚します。

が、分かりやすいものを創るのが、一番難しいものなのです

 

どのコントも安定して面白い。【旅館】もオススメの逸品です。

T.HASE拝。

 - コラム_T.HASE