ドラマ『日本ボロ宿紀行』を見て”廃れの美学”に思いをかられる。

今クール放送のドラマは
テレビ東京の 『日本ボロ宿紀行』を見ています。
なんともいびつなタイトルに興味を惹かれて
何気なく見始めたのですが、なかなか面白かったです。
ゆるめのロードムービー風ドラマかと思いきや
マネージャー役 深川麻衣さん と
ひなびた一発屋歌手役 高橋和也氏 の
ガチンコ演技バトルが見応えありました。
深川麻衣さんは初見でしたが、ベテラン相手に堂々たる演技。
啖呵を切るシーンで思わずこちらが身構えてしまいました。
優れた演技力もさることながら、声質も魅力的です。
ブレイク必至、NHKの朝ドラに合うんじゃないかと思いきや
『まんぷく』に出演されるみたいですね。
高橋和也氏は、怪優といいますか
短いシーンでも爪痕を残していく凄みのある役者さんです。
このドラマでも、赤く染まった血走った目でまくしたてる演技を
披露していましたが、どうやって身体をコントロールしているのか不思議です。
ボロ宿と、20年間くすぶり続け不貞腐れた歌手の姿が
折り重なっている訳ですが、どこか身につまされる思いがしました。
おっさんは
人生で二度目のブレイクを果たす必要があるのです。
私も40代前半ですが、これまではいわば
30代前半での蓄えで生き永らえたようなものです。
若い世代からの突き上げを尻目に、妙なプライドはかなぐり捨てて
もう一度勝負して新たな局面を切り開かなくてはいけません。
『おっさんのポテンシャル舐めんなよ!
くぐり抜けてきた修羅場が違うんだよっ!!』
桜庭龍二の台詞が胸に深く刺さりました。
奇しくも、深川麻衣さん⇒乃木坂46 高橋和也氏⇒男闘呼組
(※男闘呼組って10〜20代の人はご存知なのでしょうか^^;)
お二人ともアイドルグループ所属を経て
役者というセカンドキャリアを歩まれている訳で、
ドラマの内容とリンクしたキャスティングの意図も垣間見えて興味深いです。
第1話目は監督:藤井道人氏 脚本:田口佳宏氏 の布陣でしたが
毎回違う方が演出・脚本を手掛けられるようなので各クリエイター陣の競演も楽しみです。
上明戸聡氏の原作も読み進めております。
流れるような文章でグイグイと『ボロ宿』の魅力に引き込まれている最中。
歴史に裏打ちされた秘境の様子を読書で追体験できます。
ドラマと著書を経て、日本のいたる所に潜む
いなたいボロ宿が少し気になり始めた自分がいます。
T.HASE拝。