なぜ小室哲哉はメガヒットを連発したのか 前編:メロディー編
2020/07/22
TM Networkの新譜「QUIT30」発売を記念しまして
『なぜ小室哲哉はメガヒットを連発したのか』を徹底検証します。
マーケットリサーチ、トラックメイク、ボーカルの選定、CMタイアップ etc.
爆発的に売れたのは色んな要因が複合的に重なっての事ではありますが、
前編では”メロディ”の観点から語ってみたいと思う。
~小室哲哉(以下TK)と私~
◎中学校の頃に友達にもらったカセットで「Dress」を聴いて衝撃を受ける
◎リアルタイムで「Rhythm Red」「Expo」を通過。
◎売れ始めた頃に単純なリズムのサビ(2拍3連)の曲が
(trf「寒い夜だから…」「EZ DO DANCE」など)増えて、少しの間遠ざかる
(2拍3連の音形 シンプルで非常にキャッチーなリズムである)
◎ご本人も単純化したメロディーは確信犯的にやってたようで、
セールスが軌道に乗ると
(trfの3部作「crazy gonna crazy」「masquerade」「overnight sensation」辺りから)
2拍3連のサビは影を潜めていく。
◎globeや華原朋美のデビュー辺りから神がかったメロディ連発でまたヘビーリスナーとなる。
【和声】
例えば「I’m proud」のサビを分析すると
ポイントは2小節目の”F”の音。
コードの構成音に無い音が鳴っており
非常に妙味のある響きとなっている。
メロディもコードも音が降りていく自然な進行でありながら
ギャップが生まれている仕組みが見事なのである。
(「I’m proud」のメロディ)
※キーはCメジャー又はAmに移調
【コード進行】
「WOW WAR TONIGHT」などで使われてる
〈Am-F-G-C〉が代表的と言われているが
むしろ〈Am-Em-F/G-C〉の曲がやたらに多い。TKの代名詞とも言えるコード進行。
「I believe」「寒い夜だから…」「wanna be dream maker」「Love Train」etc.
篠原涼子に至ってはプロデュースのシングル3曲中2曲がそれに該当する。
(「恋しさとせつなさと心強さと」「Lady Generation」)
同じコード進行でも全く違った表情をみせるメロディを
書けるのがTKの凄いところだ。
【リズム】
裏拍(シンコペーション)を多用するなどリズムの切り方が独特で
初期の作品からも見受けられる特徴である。
(例えば中山美穂の「JINGI愛してもらいます」)
作曲法は歌いやすさよりもむしろ
音形の面白さや音の響き方を重要視しているようだ。
メロディに関しては天性のものとしか言いようがないので
解説はあまり意味を成さないかもしれない。
だが、ひとつ言えるのは売れたから良いメロディなのでは無くて、
良いメロディ、だから売れたのである。
T.HASE拝。