くるり岸田氏の「交響曲第一番」初演 を京都にて鑑賞してきました。

   

岸田繁が京都市交響楽団へ 30分を越える交響曲を書き下ろし、 12月に京都での初演

歴史的瞬間を目に焼き付けようと、京都での初演に馳せ参じました。

■「交響曲第一番」について

■京都市交響楽団の演奏について

■京都へ弾丸小旅行

それぞれ分けてレポートしたいと思います。

 

 

「交響曲第一番」について

 

 

アートに向かっていく表現

エンターテインメントに向かっていく表現

 

ロック/ポップスのフィールドにて

外の世界である聴衆届くものとして

作品を書いていたペン先を

アートに対峙すべく自分自身の心の奥底に向けると、

岸田さんには一体どんな音の世界が見えたのか

 

商業ベース交響曲を書けるチャンスを

有するアーティストというのは

日本ではそうそういないので、

岸田さんの気合いの入りようも伺える。

 

「交響曲第一番」にはタイトルが無かった

おそらく余計な先入観を与えない為であろう。

音としての純度が高く

この曲を聴いた時に得た感情に

名前の付けようが無いのである。

 

出だしの音がG(だったはず)メジャーの和音だったので

「お、わりと正攻法に組み立ててるのかな!?」と思いきや、

そのあとはめくるめく摩訶不思議な音像が繰り広げられた。

不協和音ということではなく、

縦横無尽に折り重なっていく旋律の流れ和声により

聴いたことのない響きが現出

 

ご自身も述べられていたバルトーク、

ショスタコーヴィチ、またはブラームス、

はてはロックのようなミニマルなリフなど

様々な音楽的バックボーン融合・昇華して

とんでもない音の塊が生誕していた。

 

複雑なパズルのような音楽で、

たまにパチっとおさまった時に起こる快感

『あ〜クラリネットがこう上がってきて、

カウンターメロディのビオラが半音で降りて来て・・

ほら!バッチリ決まったわ( ̄ー ̄)ニヤリ ※あくまで想像』

ほくそ笑みながらスコアを書いている岸田さんを

思い浮かべてしまった。

 

あまりにも情報量が多く怒涛のように時が過ぎたので

音源のリリース希望。。と考えていたら、

くるり岸田、本日初演の交響曲を来春にCD化 きました!

ライブアルバム「NOW AND 弦」も楽しみである。

難解だった「交響曲第一番」に比べると

「管弦楽のためのシチリア風舞曲」

メロディアスなつくりで親しみやすいです。

 

 

 

■京都市交響楽団の演奏について

 

広上淳一先生パワフルなタクト

抑制のきいた京響アンサンブル

絶妙なマッチングでした。

私が演奏していたホルンも4管編成で

大編成でしたが、バリバリ音を鳴らすという訳ではなかったです。

全体のバランスを常にとりながら

どこの楽器を鳴らすか細かい配慮がきいている、といいいますか

(すみません、上から目線のようで^^;)。

 

オーケストラをバックに岸田さんが一曲歌われましたが、

実に京都らしい風景がイメージできる唄で、

会場の雰囲気にハマっておりました。

広上先生が歌唱の冒頭でピアニカを吹かれたのは

張り詰めた緊張感を緩和する配慮、だったようにも伺えます。

岸田さんの声頭蓋骨が、骨が共鳴しているような印象でした。

自然体でありながら、ものすごく聴き手に伝わってくる

非常に臨場感のある声質

 

 

 

■京都へ弾丸小旅行

 

それは、夜中にふと届いた引用リツィートから始まった。

あわわ、岸田さんご本人から

ワイのブログが紹介されとるわ(゚ー゚;Aアセアセ

 

なぜか慌てふためいた訳であるが、

そうだ、京都に初演を聴きにいかなあかん。

と即座に決意を固めたのである。

 

 

img_0148

急遽チケットを手に入れて一路、京都へ。

 
img_0149

平安神宮を横目に。

 

 

 

img_0150

京都ロームシアター、サイズ感も丁度良い

素敵なホールでした。

何十年か昔に来たことがあった、かも。

 

 

当日の岸田さんですが、

髪型がこざっぱりとされて

会場にいる誰もが最初

誰か分からない状態だったと推測されます。

ご本人は、まるで

管弦楽のサークルに新入生が見学で来たような

ポジションの席に座って

第一部:「Quruliの主題による狂詩曲」を鑑賞。

遠巻きではボンヤリとしか見えませんでしたが、

悦に入るようニコニコされてたように見受けられました。

そして、交響曲第一番では客席の中央に移動されてました。

 

これはあくまで想像なのですが、

岸田さん、次は自分でタクトを振りたくなったんじゃないかな。

広上先生の指揮は無論、素晴らしかったですが、

パフォーマーとしての血も騒いだのではないでしょうか。

 

 

正月には再び実家(兵庫県の尼崎市)に帰省するので

京都には実質3時間半ほどしかおらず。

”築地銀だこ”の【たこやき】は関西人からすると異端。

現地のたこ焼きを検証しましたが、濃厚なソース味が美味でした。

 

演奏後にも同様のことを述べられておりましたが、

会場の一体感がすごく良かったです。

交響曲のフルスコアを書くというのは

途方もない作業ですが、

最後の万雷の拍手は様々な岸田さんご本人の思いが

一気に解放された瞬間だったのではないでしょうか。

 

短い時間ではありましたが、

音楽と京都の素晴らしさ

存分に堪能した一日となりました。

 

T.HASE拝。

 - コラム_T.HASE, 音楽