俺の作詞道 其の二 〜『魂を抱いてくれ』松本隆〜

      2016/11/06

松本隆】御大の歌詞ですが

叙情的な世界観に様々な技巧が散りばめられており

ウンウン唸らされます。

松田聖子の楽曲群が有名ですが、取り上げるのは

氷室京介の『魂を抱いてくれ』。

雨粒の中 待翳(まちかげ)が回る

微睡む君の睫毛を朝が綺麗に縁取る

最初の掴みは非常に大事なんですけど

この出だし、文学的というか言葉の連なりがすごく格好良い。

”まちかげ”という、

響きは違和感ないけど

歌詞カードでみると難解な漢字の熟語。

聴いても読んでも実に奥ゆかしい一文です。

 

本当に言いたいことは(目立たない)2番で言うと

秋元康氏も仰ってましたけど、

打ちのめされたとき隣にいるだけでいい

最強・最恐のロックンローラー・氷室京介

一人の孤独な人間なんだなぁと気付かせる

非常にグッとくるフレーズになってます。

 

『魂を抱いてくれ』という、

ダサさと格好良さのギリギリのライン

攻めてくる言葉遣いのセンス。

ヒムロックご本人だと書くのが難しいであろう

強さも弱さも併せた”氷室京介像”

見事に描き切っているという点で

松本隆氏の職人芸の極みを堪能できる仕事です。

T.HASE拝。

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