俺の作曲道 ~其の一『CATCH ME(歌:中山美穂)』作曲:角松敏生~ オシャレな理由をCATCHしたい。
2017/02/04
既にあらゆる定型が出尽くしていると思われるが、
常に革新的なコード進行がないか、模索している。
音故知新。昔の歌謡曲から学ぶべきことは多い。
今回は『CATCH ME(歌:中山美穂)』作詞・作曲:角松敏生 を
取り上げてみたい。
角松敏生さん、貴方は天才ですか!?
以前にもブログで少し触れたけど、
ポップスにおけるコード進行の面白さに気付いたのは
『You’re My Only Shinin’Star/中山美穂(角松敏生 作詞・作曲)』が原点です。
子供の頃は意識してなかったけど
多分に角松さんの影響を受けております。
J-POP=邦楽の文法に従いながら、
意外性をサラリとみせる粋なセンス。
複雑で難解なコードを自然に聴かせる妙技。
これこそシティーポップス。
イラストレーターでいうとわたせせいぞうさん的なオシャレ感。
※以下、コードの解釈が違っていましたら申し訳ございません。ひとつご了承ください。
↓原曲のキーはDmですが分かりやすいようAm(エーマイナー)に変更しております。
BメロはAメロとサビの橋渡しなのですが、
コード進行は遊びやすいパートなのです。
Aメロ(Am7→FM7の繰り返し)から、
Bメロの頭がB♭M7で
調性の浮遊感が生じます。
そして2小節目のAm7(onD)が
かなり変わった響き方になっている。
上モノの和音は全音ずつ下がりながら
ベース音がB♭からDにグイッと持ち上がっている、
それぞれのパートが交錯するような動き方をしているのです。
”何かが私の中で変わってゆく気がするの”(J-Lyric.netより引用)
という歌詞とあわせて
なんともいえない変わりゆく情緒を
入りの不安定感[B♭M7]と
次に来るオトナっぽい響き[Am7(onD)]で、
和声においても表現しているのです。
あと、サビのラストについて
一番最後のコード、
Em7(onA)が非常に奥ゆかしい。
スタイリッシュ感が炸裂しております。
普通な終わり方でいくと、単純にAmとするところ。
ベース音のみがAに降りて帰結しながら、
上モノのコードがEm7のまま推移している。
終わるようでいて、終わらない余韻がのこる。
ダンスミュージックがエンドレスで続いていくような
コード進行の仕掛けとなっているのです。
つまり、いつまでたっても
CATCH ME できないわけであります。
この無限ループ感を卓越した技術で生み出した
角松さんの職人芸、恐れ入ります。
幼少の頃は、やはりクラシックよりも
テレビから流れるポップスに興味があった訳です。
今でこそクラシックも普通に聴きますが
音楽に興味を持つキッカケとして歌謡曲の果たす役割は大きい。
絶対に子どもは流行りの歌で楽器を習わしたほうが食いつくよ。
改めて思いにふけり、今回の記事を書いてみました。
T.HASE拝。